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マンションは「一生住む場所」から「資産」へ

マンションは「一生住む場所」から、【資産】へ。
そんな価値観の変化を感じさせる興味深い記事がありました。10月4日の日経MJによれば、首都圏で過去3年以内にマンションを売却した人を対象にした調査で、自宅用マンションを購入した時点から、「いずれ売却しようと思っていた」という人が【51.9%】に達したそうです。
つまり、2人に1人以上。
「マイホームを買ったら、一生そこに住み続ける」という時代から、「住みながら資産価値も考える」時代へ。住宅に対する考え方が大きく変わりつつあります。
目次
1. 価格は6年で約2.4倍。売却した人の6割が「5年以内」
2. 税率が約2倍変わる「5年の壁」は、売却した年の1月1日で判定
3. 5年以内の売却でも税金ゼロの可能性。「3,000万円特別控除」と住宅ローン控除の関係
4. おわりに
1.価格は6年で約2.4倍。売却した人の6割が「5年以内」

背景にあるのは、やはり、【マンション価格の高騰】です。
記事によれば、東京23区のファミリー向け中古マンションの平均価格は、2020年1月の【4,945万円】から、2026年8月には【1億2,018万円】へ。わずか6年余りで、約2.4倍です。
その結果、実際にマンションを売却して利益が出た人は【71%】。売却益では、「2,000万円以上」という回答が最も多かったそうです。
こうなると、「高く売れるなら、住み替えよう」と考える人が増えるのも自然でしょう。
そして、私が税理士として特に気になった数字があります。それが、【5年以内に売却した人=60.5%】という数字です。なぜ、「5年」が気になるのか?
2.税率が約2倍変わる「5年の壁」は、売却した年の1月1日で判定

実は不動産税制には、【5年の壁】があるからです。
土地や建物を売却した場合、所有期間によって、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に分かれます。ポイントは単純に、「買ってから売るまで5年間」ではありません。
判定するのは、【売却した年の1月1日時点】です。この時点で所有期間が5年以下なら、「短期譲渡所得」。5年を超えていれば、「長期譲渡所得」となります。
そして、税率には大きな差があります。短期譲渡所得なら、所得税30%&住民税9%。これに復興特別所得税を加えると、実質、【39.63%】。一方、長期譲渡所得なら、所得税15%&住民税5%に復興特別所得税を加えて、実質、【20.315%】となります。約2倍の違いです。
だから、マンションを売却するときに、「5年」という数字は極めて重要なのです。
3.5年以内の売却でも税金ゼロの可能性。「3,000万円特別控除」と住宅ローン控除の関係

但し、ここで話を終わらせてしまうと、税理士としては説明不足です。
今回の記事の対象はもともと、【自宅用として購入したマンション】です。そこで重要になるのが、【マイホームの3,000万円特別控除】です。
一定の要件を満たしたマイホームを売却した場合、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から【最高3,000万円】まで控除することができます。つまり、「5年以内に売ったから、利益に約40%課税される」と単純に考えてはいけません。
例えば、マンションを売却して、税務上の譲渡所得が【2,000万円】発生したとしましょう。3,000万円特別控除の適用要件を満たしていれば、(2,000万円-3,000万円特別控除)となり、課税譲渡所得はゼロになる可能性があります。
ここで大切なのは、新聞記事などでいう「売却益」と、税務上の【譲渡所得】は必ずしも同じではないということです。
税務上の譲渡所得は原則、売却代金から、取得費や譲渡費用、さらに適用できる特別控除を差し引いて計算します。また、建物の取得費については、所有期間中の減価償却費相当額を差し引く必要があります。
単純に、「1億円で買って、1億2,000万円で売った。だから2,000万円に税金がかかる」という話ではないのです。
ただし、3,000万円特別控除にも当然ながら要件があります。例えば、実際に自分が住んでいたマイホームであること。以前住んでいた家なら原則として、【住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで】に売却すること。また、親子や夫婦など特別な関係にある人への売却ではないこと。さらに、過去に一定のマイホーム関連特例を利用していないことなど、いくつもの要件があります。
別荘や、この特例を使うことだけを目的として入居したと認められる家などは、対象になりません。そして、もう一つ忘れてはいけないのが【確定申告】です。
3,000万円控除を使った結果、課税される譲渡所得がゼロになるとしても、この特例を受けるためには必要書類を添えて確定申告する必要があります。
さらに、住み替えの場合には注意すべきポイントがあります。新しく購入した住宅について、【住宅ローン控除】を利用したい場合です。
3,000万円特別控除と住宅ローン控除には、適用時期によって併用できない関係があります。
つまり、「3,000万円控除が使えるから、とりあえず使っておこうと判断すると、新居側の税制優遇まで含めたトータルでは、必ずしも有利とは限りません。
だからこそ、売却だけを見るのではなく、【売却+購入+税金】を一体で考える必要があります。
4. おわりに
今回の記事を読んで、改めて感じたことがあります。
これからのマイホームは単なる「消費」ではなく、ますます【資産運用】の要素を持つようになるでしょう。
どこに買うか。いくらで買うか。何年住むか。いつ売るか。いくらで売れるか。そして、【税引後で、いくら手元に残るか】。ここまで考えて初めて、本当の意味での資産形成になります。
「2,000万円値上がりした!」という数字だけを見て喜ぶのではなく、取得費はいくらか?売却費用はいくらか?どの税率になるのか?3,000万円控除は使えるのか?新居の住宅ローン控除との関係は?そこまで考える。
不動産は、【いくらで売れるか】ではなく、【売った後、いくら残るか】。資産形成で本当に見るべき数字は、「売却価格」でも、「含み益」でもありません。【税引後の手残り】です。
マンション価格が大きく上昇している今だからこそ、売却を考えている方は、「いくらで売れそうか?」と同時に、「税金を払った後、 いくら残るのか?」まで試算してみて下さいね。
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【当ブログ執筆者】
TFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト
社会保険労務士法人トップ労務マネージメント
税理士 中小企業診断士 代表兼CEO 岩佐 孝彦
TEL/06-4796-7771 mail/iwasa@tfp-j.com
公式サイト/www.tfp-j.com
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