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お墓は「相続税ゼロ」なのに、なぜ墓じまい? 税理士が考えるお墓の経済学

お盆が終わりましたね。ご先祖様を自宅にお迎えし、ご供養する夏の風習です。
私(岩佐)も岡山に帰省し、墓参りをしてきました。
目次
1. 相続税が非課税の「お墓」と急増する「墓じまい」
2. コスト面から見る「墓じまい」の現実とリスク
3. 心理的負担・家族関係の変化とお墓のこれから
4. おわりに
1.相続税が非課税の「お墓」と急増する「墓じまい」

税理士目線で言うならば、お墓や墓地、仏壇などの祭祀財産に相続税はかかりません。
これらは非課税財産となるため、相続税の計算対象から除外されます。
お墓は一般的な遺産相続ではなく、祭祀を主宰する人が引き継ぎます。
生前に現金一括でお墓を購入しておくと、課税対象となる手元の現金が減るため、結果として相続税の節税対策になります。
このように相続税の優遇が存在するにも関わらず、今日では「墓じまい」が一つのブームになっています。ご先祖様の墓を撤去し、遺骨を別の場所へ移す「改葬」は事実上の墓じまいとしての手続きです。
厚生労働省の統計によれば、平成26年度に約8万4千件だったものが、令和元年度には約12万件、令和6年度には約17万6千件にのぼり、この10年間で約2倍になっています。
私共のクライアントに創建600年以上の寺院がありますが、近年は「樹木葬」のお問合せが急増しています。樹木葬は、従来の大きな墓石の代わりに、桜や紅葉等のシンボルツリーや草花を墓標とするお墓です。
2.コスト面から見る「墓じまい」の現実とリスク

この背景には「お墓の維持費の負担が重い」という理由も多く見られるようですが、本当にそうでしょうか?実際のところ、鎌倉新書が昨年行った調査によれば、納骨堂の平均価格は79.3万円と割高でしたので、ここで検証してみましょう。
お墓を維持するコストとしては、お寺や霊園の管理費と、伽藍の修繕積立金にあたる護持費があります。これらは多く見積もっても、年に2~3万円程度です。また、七回忌や十三回忌といった法要にもお布施が必要になりますが、頻繁に発生するものではありません。
墓じまいには、一度にまとまった費用がかかります。墓石を撤去し、更地に戻す費用が30~50万円程度、魂を抜く儀式のお布施に3~5万円程度が必要です。また、遺骨の移転先でも費用がかかります。
例えば、納骨堂は主に屋内にある棚式やロッカー式の納骨スペースで、ICカードをかざすと納骨箱が目の前まで出てくる自動搬送式もあります。天候に左右されずお参りできる長所がありますが、鎌倉新書の昨年の調査では平均価格が67.8万円でした。
このように、お墓の撤去費用を合わせると、一連の墓じまいの総額は安くても50万円、条件によっては数百万円ほど要します。
コスト面で考えれば、現状のお墓を数十年は維持できるにもかかわらず、墓じまいには初期コストが大きいのです。
また、ランニング費用面ではどうでしょうか?
他のお墓に移しても、費用の負担は基本的になくなりません。納骨堂や樹木葬の多くは納骨期限が設けられていて、短ければ7年か13年、長くても33年ほどで期限が到来します。
つまり、十数年から数十年のスパンで契約を更新したり、別のお墓を契約する必要があります。そのため、定期的に大きな費用が発生するのです。今日のインフレ下で更に費用が高くなる可能性もあります。
以上のように、長期スパンで考えれば、維持費が高いという理由で墓じまいするのは経済的に損する可能性があるので、注意して下さい。
3.心理的負担・家族関係の変化とお墓のこれから

しかし経済的理由ではなく、「お墓参りや先祖の供養という義務から解放されたい」という心理的理由であれば、話は別です。近年の家族関係の変化が背景にあるかもしれません。
私(岩佐)の父は四人兄弟の長男です。また、私自身も長男です。戦前の価値観では、墓を継ぐことは長男の役割でした。長男はお墓を含め、実家を守っていくという義務を負うのが一般的でした。
しかし戦後になると、相続の形が変わり、財産は兄弟で均等に分ける一方、お墓の管理責任は昔のままで、長男一人で背負う形が残りました。
「財産は均等に分けているのに、なぜ自分だけが墓を守らねばならないのか」という思いが、家族間のわだかまりを生み、“争族”の火種になるケースもあります。
この機会にお墓の在り方について、よく考えてみて下さいね。
「自分が亡くなった後、遺された親族にどう弔われたいか?」
先祖の墓をどう扱うかという問いには、巡り巡って、自分自身が死後どう扱われたいかという問いにつながっていきます。
4. おわりに
税理士として最後に注意喚起です。お墓や仏壇は確かに相続税がかかりませんが、純金製の仏壇や骨董的価値が高く投資対象とみなされれば、非課税ではなく、課税対象となるリスクもあります。
金価格が2026年に入り、1月に国内小売価格が史上初めて1グラム当たり3万円台を記録しています。その後、一転して乱高下や調整局面を挟みつつも、過去と比べて歴史的な高値圏で推移している状況が背景にあります。くれぐれもご注意くださいね。
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【当ブログ執筆者】
TFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト
社会保険労務士法人トップ労務マネージメント
税理士 中小企業診断士 代表兼CEO 岩佐 孝彦
TEL/06-4796-7771 mail/iwasa@tfp-j.com
公式サイト/www.tfp-j.com
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