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「意思能力」とは?不動産売却が無効になる認知症〜家族信託や遺言で対策を〜

「意思能力」とは?不動産売却が無効になる認知症〜家族信託や遺言で対策を〜

1. 「意思能力」とは

近年になってはじめて明文化された法律

"法律行為を行なったとき、自分の権利や義務はどのように変動するのだろう?"
これを理解できるだけの精神能力のことを意思能力といいます。

たとえば不動産を売るとき、
「自分はこれだけのお金を得る事ができ、法律に基づいた形であけわたす義務が発生する」
と考える事ができるといった具合です。

意思能力が無い人が行なった法律行為は、民法で"無効"と定められています。


民法3条の2
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。


 

この法律は、2020年にはじめて明文化されました。

それまでも、裁判では当たり前のように"無効"とされていた面がありましたが、
以下の観点から法律化されました。

・国民にわかりやすい民法をつくる
・認知症リスクの高い高齢者を守る


意思能力の有無について

その人に「意思能力があるかどうか」は、個々の状況に応じて決めることになっています。
また、その時に問題となった状況に合わせて、物事の難易度・重大性も考慮して判断されます。

一般的には、次のような人たちが意思能力が無いと判断されるケースがほとんどです。

未就学児(7〜10歳程度までの人)
泥酔者
重い精神病を患っている人
認知症を患っている人

 

行為能力、権利能力とは

意思能力と似ていますが、行為能力という用語もあります。
「単独で法律行為を行う能力」のことを指しています。

主に未成年者や、
認知症などを患って成年後見人をつけている「成年被後見人」などが
この能力を持っていないとされます。

民法では行為能力の無い人のことを制限行為能力者と呼んでいます。
彼らが行なった法律行為は、親族や後見人などの「保護者」が"取り消す"ことができます。


その他に、権利の取得や義務を負うことに関する権利能力という用語もあります。
権利能力は出生により誰もが持つ事になりますが、
例外的に以下3つにおいては胎児のときにさかのぼって権利が認められます。

・不法行為による損害賠償請求権
・相続
・遺贈

 

2.「意思能力」が無いと資産の運用や売却ができない

何も動かせなくなってしまう

意思能力が無い人にとって、社会生活そのものが不利なことばかりです。
たとえばコンビニで買い物することも"売買契約"なので、
厳密には無効の行為となりますね。

そういった日常的なトラブルだけでも大変ですが、
資産に関わることは家族の生活により大きな影響を与えます。

意思能力を無くした人は、以下のようなことが難しくなってしまいます。

不動産の活用
不動産を売却したり、購入したりすることはもちろん、
誰かに貸すことなどあらゆる契約事が無効となります。

預金の引き出し
意思能力の無い人との取引は無効になることが多いため、
銀行側が取引を制限することがあります。

遺産分割協議
親族が亡くなった際の遺産分割で、自らの意思能力が無い状態の相続人は
遺産分割協議を行うことができません。

遺言書
自分の死後、遺産をどのように分割するかなどを遺言に残したとしても、
遺言した当時に医者から認知症またはその疑いがあると診断されている場合に
意思能力が無いことから無効となってしまうことがあります。


本人が亡くなってしまわない限り、何も動かせなくなってしまいます。

 

3. 「意思能力」が無くなったときの介護費用

平均して月々8万3,000円。あらかじめ準備するには

介護費用の平均は、月額8万3,000円といわれています。
介護期間の平均とされる5年1ヶ月(61.1ヶ月)必要だとしたらいくらになるでしょうか。

・月8万3,000円 × 61.1ヶ月 = 約507万円
参考:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」


これだけの費用を、
「今のうちに資産を売って捻出したい」
と考える方は多くいらっしゃいます。

売れる資産はほとんどが自宅等の不動産だという方も多いため、
当ブログを運営している三和都市開発にも、
介護費用のために不動産を売却したいというご相談がたくさん寄せられます。

ご相談内容の一例
・介護施設に入居するための資金を作るため、現在住んでいる家を売却したい
・同居して介護することになったので、当事者の家を売却したい
・介護や補助を受けやすい地域に引っ越ししたいので、家を売却したい


しかし、ご相談の段階ですでに認知症が進んでいた場合、
売却をお手伝いすることが出来なくなってしまいます。

意思能力を無くした後では、不動産の売却の難易度は格段にあがってしまうのです。



4.「意思能力」を無くす前に利用できる制度

元気なうちに対策するなら「家族信託」と「遺言書」

認知症が軽度、または、まだ意思能力が十分にある場合は家族信託が有効です。

家族信託とは
老後に備え信頼できる家族に財産の管理や運用を任せる制度。
親の認知症が発症・進行してしまった場合でも、資産が動かせなくなる心配がありません。

主に家族間で信託契約を結ぶため、後述する法定後見人制度のように
後見人となる専門家に報酬を払う必要がありません。

契約する信託内容はじっくり考える事ができるのもメリットです。
親が亡くなる前の不動産売却も、スムーズに行うことができます。

関連記事▶︎「家族信託」のすすめ〜認知症になる前にしたい財産管理〜


家族信託を検討するなら、
まずは認知度のチェックも行ってみましょう。

関連記事▶︎親の認知度チェックリスト 認知症の「早期発見」をこころがけて


遺言書も考えてみよう

家族信託では信託しない(したくない)財産がある場合、遺言書で示すことができます。
元気なうちは、もしもの備えも幅広く行うことができますね。

関連記事▶︎「遺書」と「遺言書」の違い
 

 

5.「意思能力」を無くした後に利用できる制度

認知症になってしまった後なら「成年後見人制度」が使える

遺産分割協議をすることが難しいときや、本人のために不動産売却が必要なとき、
この制度を利用することで手続きを進めることができます。

成年後見人制度とは
意思能力が十分ではない、認知症や知的障害を持つ人のかわりに、
成年後見人が契約などの法律行為を行う制度のことです。

本人が行ってしまった不利な契約も、成年後見人なら解除することができます。

特に、重度の認知症患者となってしまった後からでは、
成年後見人制度を利用するほかに本人以外が不動産の売却をする方法はありません。


成年後見人には「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。

法定後見制度
家庭裁判所によって、親族や司法書士、弁護士、社会福祉士などから法定後見人が選ばれる。

任意後見制度
本人が意思能力を持っている間に、将来に備えて成年後見人を選ぶ。

成年後見人制度では一定の報酬を支払う必要があります。
報酬の額はさまざまですが、一般的に家族信託より高額になるケースがほとんどです。

 

6.「家族信託」と「任意後見制度」の違い

両者の違いを知って、より希望に近い形を準備しよう

先にご紹介した「家族信託」と「任意後見制度」。
どちらも"元気なうちに"検討すべき制度になりますが、両者の違いは以下のような点にあります。


[財産管理の始まり]

・家族信託…意思能力がある時点から可能
・任意後見制度…意思能力が不十分になった時点から可能


身上監護権があるかないか
本人が安心して暮らせるために、生活や医療・介護などの契約手続きを本人に代わって行うことを「身上監護」といいます。

・家族信託…受託者に身上監護を任せることはできません
・任意後見制度…任意後見人に身上監護を任せることができます

家族信託は、あくまでも財産の管理や承継を目的としています。


裁判所による監督があるかないか

・家族信託…裁判所から選任された「任意後見監督人」などから監督を受けます
・任意後見制度…裁判所による監督を受けます


積極的な財産管理ができるかどうか
 
・家族信託…信託内容に、積極的な財産管理ができるような仕組みを盛り込む事ができます
・任意後見人制度…本人の財産は現状維持が原則となるため、不動産投資や株式・財産の組み替えはできません


 

7. 不動産売却はなるべく元気なうちに

意思能力が無くなってしまうと、それを取り戻そうと思っても困難であることが多いです。

とくに認知症は、治療薬がまだできていません。
それでいて、2025年には日本の65歳以上の約20%が認知症になると予想されています。
※2020年 厚生労働省老健局発表

「相続税や遺産分割、介護費用のことを考えておかないと家族が困るだろう」とお考えの方は、
元気なうちに準備しておくことをおすすめします。

まして不動産は、いつでも売れるわけではありません。
早めの対策ですこしでも有利な状態を作っておきましょう。



まとめ
意思能力が無い人は、不動産売買などの法律行為を行うことができません。

不動産を売って介護資金を捻出したいと考えていても、
認知症などで意思能力を失ってからでは何もできなくなってしまいます。

認知症の発症率は高齢になるほど高まります。

家族信託や成年後見人制度など、手段はあるので
できるだけ早めに対策するようにしましょう。



 

三和都市開発は、「不動産を売却する必要があるかもしれない」と思ったとき、
ぜひお役にたちたいと願っています。
法律の専門家・弁護士との連携もありますのでぜひお気軽にお問合せください。
  


 

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